【デスカンファレンスの役割】
訪問看護ステーションの皆様やケアマネジャーさんとともに、お看取りした患者さんを振り返る時間を持った。
医療業界ではこの振り返りを「デスカンファレンス」と呼ぶが、中心となる医師の進め方次第で、その意義や雰囲気は大きく変わる。
一般的には「問題点や反省点を挙げ、解決策を検討する場」として扱われることが多い。確かにプロとして「もっとこうすれば良かった」という内省を次のケアへ昇華させるプロセスは不可欠だ。しかし、各自が日常的に内省を重ねているプロの集団であればこそ、単なる反省会に留める必要はないと考えている。
だからこそ私は、デスカンファレンスを「一人では抱えきれない葛藤や迷いを共有し、昇華させる場」にしたい。
今回のカンファレンスでは、スタッフから「ご家族との関係を十分に深められず、ご本人の不安や葛藤に伴走しきれなかったのではないか」という正直な思いが明かされた。
在宅医療では、患者さんやご家族が積み重ねてきた歴史や関係性の中へ、医療者が後から入っていく。たとえ短い期間であっても、死という究極のテーマに向き合い、言葉選びや間合いを研ぎ澄ませながら丁寧に対話を重ねていく覚悟が求められる。
どれほど感覚を研ぎ澄ませて向き合っても、思いが届かないこともあれば、ネガティブに受け取られてしまうこともある。そのプロセスで生じる葛藤や後悔は、現場をともにしたチームだからこそ分かち合い、昇華できるものだ。
モヤモヤとした感情を言語化し、自分なりの物語として受け止めることで、人は悲しみや迷いから立ち直り、前へ進むことができる。
デスカンファレンスとは、プロだからこそ口にしづらい「辛かった」「わからなかった」という本音を素直に吐き出せる場でありたい。そうして生じた答えのない問いや葛藤を温かく受け止め、それぞれの成長と、次の患者さんへのより良いケアへと繋いでいきたいと思う。