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2026.09.07
お知らせ コラム

医療における多様性とは 〜「医療を暮らしの脇役に」の先にあるもの〜

Writen by 秋田 大輔
秋田 大輔

「自分で選べること、それを支える人や場所があること」

これが、私が考える医療における多様性の原点です。病気になった時、自分自身で方針を選択し、それに伴う様々な不安や痛みに伴走してくれる人や場所があれば、人は病気という困難にも正面から向き合っていけるのではないかと感じています。

「提示」で終わらせず、選択に寄り添い続ける

病院でのインフォームドコンセント(説明と同意)では、治療の選択肢が提示されるものの、その大きな決断に伴う心理的ストレスを患者さん一人で背負わなければならない場面を多く目にしてきました。病院という限られた時間の中で、一人ひとりとじっくり対話を重ねる難しさがあるのも事実です。

しかし私は、まさにその「対話と意思決定支援」にエネルギーを注ぎたいと考え、在宅医療の道を選びました。単に選択肢を並べるだけでなく、患者さんが自分の意志を持てるまで丁寧に言葉を交わし、選び取った道のりの痛みに全力で伴走すること。それこそが、在宅医療が果たすべき真の役割だと確信しています。

「医療を暮らしの脇役に」〜誰もが人生の主人公であるために〜

現在の医療では、いまだに医師の存在感が大きく、「すべてお医者さんにお任せする」という空気感が残っています。ですが、私の大切な哲学は「医療を暮らしの脇役に」することです。

これは決して医療を軽視する意味ではありません。必要な医療をしっかりと提供しながらも、その方の人生が病気だけに支配されないよう、その人の中に残る「健康な部分」に光を当てるということです。医療はその人らしい暮らしを下支えする一つの手段に過ぎません。医師以外のすべての人——患者さんご本人やご家族、地域で支えるスタッフ一人ひとりが、自分の健康と暮らしの主人公として主体的に関われる世界を目指しています。

生物学的延命の先にある、本当の豊かさを求めて

医療技術の目覚ましい進歩に伴い、生物学的に命を延ばすことは可能になりました。しかし、それに比例して暮らしの豊かさや「健康寿命」が伸びているかというと、必ずしもそう言い切れない現状があります。

延命と生活の豊かさが共存できることが理想ですが、生物学的な延命だけが一人歩きしてしまう状況に対し、どう向き合っていくべきか。これは私たち医療者だけで答えを出せるものではなく、地域や社会で暮らす全ての人と一緒に考えていきたい問いです。

だからこそ、私は日々の診療の中で問い続けたいと思っています。

「病を抱えて生きていくとしても、あなたはどんな毎日を過ごし、どう生きたいですか?」

私はその問いにどこまでも向き合い、あなたの「選択」と「暮らし」を支えるために存在しています。

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